スパイス  組み込み制御装置の受注製作

組み込み開発で使用するPC
平成27年 1月12日

 組み込み開発用PC(その2)
 組み込み開発用のPCでは、過去のプログラム資産を動かせる必要があります。特に仕様変更の影響を受けるのはマザーボードでIOの仕様変更があると、古くなった世代のマザーボードや拡張カードを動作可能な状態で保存する必要があります。
 最悪の事態は手持ちのマザーボードや仮想環境ではプログラムが動作せず、新しく中古のマザーボードを購入して動作環境を再構築する羽目になります。

 出来るだけこのような自体を避けるためにも、マザーボードの選択は重要です。
どのマザーボードを残すかについて、私の個人的な判断基準を書いてみます。

  1.マザーボードのメーカー
 大手のPCメーカー製を購入する手もありますが、後々の面倒(BIOSの更新や旧製品に関する資料をHPで残してくれるなど)を見てくれないメーカーが大半です。出来れば自作メーカーから選択します。
 自作マザーボードの大手は複数ありますがAsus, GigaByte, Asrockの3社が上位です。

  2.各社の特徴
 後々までマザーボードを保管して使用することを考えると、特にBIOS更新の簡便さが重要です。
特に中古製品を購入する場合を考えるとサポートされているCPUがBIOSのVer.によって変わるため、PCを起動させずにBIOSを更新できるかどうかが重要になります。今のところマザーボード自身でのBIOS更新はサポートされているCPUが実装された状態でないと出来ません。
    ・BIOS ROMを外部で書き換える
 マザーボード単体でBIOS更新を行うには、そのBIOS Ver.でサポートされているCPUが必要ですが、中古マザーでBIOSのVer.が判明していることは稀です。従って外部で書き換えを行うことが出来た方が安全です。この方法なら使用するCPUは更新後のBIOSでサポートされていればOKです。この方法に向いているのはAsusとAsrockの製品です。両者はBIOS ROMをICソケットで実装してあるので、ROMを外してROMプログラマーで書き換えできます。GigaByteは半田付けされているので、この方法は使えません。
 現在のマザーボードが使用しているBIOS ROMはシリアルフラッシュタイプです。
古い世代で多用された窓付きのEPROMなどとは異なります。このため比較的新しい(10年以内??)ROMプログラマでないと書き込み出来ません。が、現在は非常に安価な製品も販売されています。例えば、aitendoさまの販売している下記商品など。64Mビットまで書き込みできます。
http://www.aitendo.com/product/9555

 海外の通販を利用するならもっと安価ですが、プログラムが添付されていない物も多数あります。プログラムを探す手間やうまく動作しない時に日本語で問い合わせできることを考えれば非常に安価です。

   ご注意
 安価なツールの大半は中国や台湾製です。日本のメーカーのように後々までサポートがあるとは考えないほうが良いです。
例えば上記製品なら現在64MビットのROMまで対応しています。仮にハードウェアではそれ以上の容量のROMをサポートすることが出来たとしても、今後それらに対応したプログラムが提供される可能性はほとんどありません。
 既に現在のマザーボードで64MビットのROMを使用していますので、将来数世代先まで使用できるROMライタを望むなら、上記製品は不適当です。もっと上位の製品を選択します。

    ・GigaByteの選択
 上位3社の中ではGigaByteだけがROMを半田で固定してあり取り外してのROM書き換えが出来ません。このため中古マザーを購入するときには最も初期のBIOS Ver.からサポートされているCPUのみを使用することが前提になります。普通は後から発売されたCPUの方が高性能ですので、この選択は有難くありません。従って、GigaByteを選択するのは新品のマザーを購入する時に限ったほうが有利です。GigaByteのマザーにはBIOSを2つ搭載してあり、書き込みに失敗したときの救済機能があるので使い方を誤らなければ便利です。

 次回は実際にBIOS ROMを外部で書き換えたときの手順やハマリ所について書く予定です。

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