PIC32MM CPUシステム

令和元年 12月

   アナログ入出力

 AD変換基板

DA変換の次はAD変換の基本機能の確認です。

 7.AD変換基板

 まず、最初に製作した基板の概観を示します。

     図1.AD変換基板の概観

 図1.に示すようにAD変換基板は制御用のCPUとは絶縁されています。
図の上側部分がCPU側で裏表共にベタ面が下側のAD変換側のベタ面とは分かれています。
DA変換基板ではDA変換器側のGNDをアナログとデジタルおよび電源部に分けて配線後、これらを一箇所で接続しましたが、AD変換基板では共通のベタ面のみとしました。
これは、配線パターンによってGNDが細切れ上に分断されるため、これ以上の分断を避けるためです。
理想的には分けた方が良いことが多いのですが、ある程度は妥協も必要です。

 次に実験用に部分的に部品を実装した基板の概観を示します。

    図2.実験用に一部の部品のみを実装した基板の様子

 本来は2個実装するADコンバータですが、1個のみの状態で実験しています。その1個のADコンバータには8CH分の入力があるのですが、今は4CHのみ配線が終わっている状態です。4CHもあれば初期の動作実験には十分です。
細かな話をするなら、ADコンバータ側のデジタル電圧にバイパスコンデンサを付け忘れているなど、少し条件が悪い部分があります。
まあ、その程度なので結果に大きな変化は無いでしょう。

 最初にやることはGNDレベルを入力して、期待した値に変換されるかどうかです。GNDレベルを測るためには0V基準の入力レンジは不適当で、±の電圧を扱えるレンジで実験する必要があります。この条件の入力レンジ中で最も感度が高い±5Vの入力レンジを指定して1000回測定した結果をグラフ1.に示します。

     グラフ1. GNDレベルを±5Vレンジで測定した結果

 比較的安定しているGNDレベルの測定とはいえ、さすがに全く同一の測定結果にはならず、主として2値に結果が集中しています。それ以外の値もありますが、全体の1割以下です。この結果からは±5Vの入力レンジでの振れ幅は1程度となります。


 次に安定な一定の電圧としてLi電池の電圧を測定しました。測定値の中心はおよそ3.3Vになるので、入力レンジとして0-5Vを選択します。
この0-5V入力レンジは使用するADコンバータで最も感度が高いレンジになります。前回と同様に1000回測定した結果をグラフ2.に示します。

    グラフ2. Li電池電圧を0-5V入力レンジで測定した結果

 先の±5Vの入力レンジに比べると1ビットに対する電圧の感度が2倍になっているので、その分読み取り値が広い範囲に広がっています。
それでも主たる範囲は相対的な読み値5〜10の範囲で全体の90%以上を占めており、読み値の振れ幅は±3となります。
 この結果からは有効な変換ビット数は13ビットとなり、下位の3ビットは参考程度となります。2層基板としては及第点の結果でしょう。
当初の目標もクリアしています。ただ、使用している部品の性能に対して目標が低すぎるので自慢にならないですが。

 残りの初期評価としては以下の項目があります。
   ・ 電流入力の確認
電流入力では電流を電圧に変換するための抵抗の精度が0.1%です。この値はADコンバータの分解能より劣るため精度の面では少し悪化します。
9〜10ビット程度の精度が目標になります。

  ・ AD変換値の絶対精度の確認

 これらはあまり変化のある項目ではないのでHPへの記録は割愛します。

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